尻の间で触手がうねると、唇からは反射的に湿った喘ぎが吐き出され、濡れた会阴がすり上げられるその度に、汗にまみれた背中では、冷えたうぶ毛が総毛立つ。
「く……あ……あッ…!」
もう唇を噤んで、喉を引き缔める事すらできなくなって、ディルトが钝く光る唇の端から、途切れ途切れの甘い悲鸣を吐きこぼすと、彼の気高い理性の里侧では、长年にたり抑圧されてきた雄特有の本能が、感极まって咆哮しながらわなないた。
见るからにおぞましい触手たちの挙动によって、自らの肉体がこれほどまでに贬められた事に愤りと不甲斐なさを感じる反面、汗の浮いた肌の下では、煮え滚るような恍惚が満ち満ちていく。
「ッ――!!」
こんな……こんな、事で……膝を折る訳には……!
必死になって、胸の奥に抱き込んできた命よりも大切な勇者としての夸りを手缲り寄せる一方で、耳元ではれた欲望に染まり始めた、ただの男の声がする。
『もう、いいじゃあないか。お前は十分すぎる程十分に顽张ったさ。』
『魔族たちは杀さない、とそう言ったが、どうせお前は遅かれ早かれ、ここで死ぬんだ』
『だったら、もう勇者なんてバカバカしい沽券は投げ舍てて、最期に……最期にありったけの悦びを味わったって、いいじゃねえか』
『全力で抗ってたってこんなに『イイ』んだ。これが理性も何もかなぐり舍てて、どっぷり触手たちの蠢きに浸ったら……お前は一体、どうなってしまうかなあ』
「く…ッ……!!」
耳の奥で闻こえる甘い嗫きに揺さぶられると、快楽に淀んだ脳里にあらぬ想像と刺激が沸き起こる。
「く……う……ッ」
逃れる事は、もう不可能だ。
抗うにも、耐えるにも、限界が近い事は谁よりも自分が承知している。
必死に探したが、退路は、どこにも存在しない。
ならば、もう。
「………く…」
罪悪感や无力感、羞耻に名に耻辱心、ありとあらゆる负の感情が交错し、朦胧としだした头の中で、ディルトが勇者として最も选んではならぬ选択肢を视界の端にほんの仅かに映し込んだ――その时だった。
「よォ、勇者サマ!待たせたなァ!どうだァ?本気のテールちゃんとの『仲良しこよし』はァ!まだちゃあんと……话ができる理性は残ってっかァ?」
「!!!!」
薄く淀んだ空気の先に、鋭く钝い光を放つ四つの瞳が不気味に姿を现した。
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「き、きさ…ま…ら…!!」
鼓膜を揺すった低い嘲弄交じりの声色に、ディルトは意识の深い场所へと沈み込みそうになっていた勇者としての気位を暴力的に呼び起こされて、汗の浮いた眉间をしかめながら鉄格子の向こう侧を睨みつけた。
「おお?なんだなんだ、こりゃ大したモンだ。あれからだいたい一时间、まだちゃんと话ができる程の意识が残ってるとはなァ。たいていの人间は、ソイツにまとわりつかれるとものの二、三十分で気が狂ったみてえになっちまうってのに、そこはさすがに戦の勇者サマサマ、ってかァ?」
「ッ……!!」
愚弄するような口调に眉根を寄せると、魔族の声に同调するかのように下半身では触手が动く。
「んで?どうだったよ、勇者サマ。俺たちがいなくなってからの一时间は。本気のソイツと『仲良く』できたかァ?って、别に答えなくてもいいけどよ!その状态を见りゃあ、どんな事が起こってたのかは、大方察しがつくってモンだ」
「く……ッ」
下卑た表情でニヤニヤと嗤う二人の男に见下ろされると、身体の奥がじくり、と疼いた。
あれから、一时间。
告げられた短い単语は、ディルトの脳と精神を完肤なきまでに叩きのめした。
正直に言えば、魔族たちが軽口を残して牢の前から消え去った後、彼は悠々数时间、いや、下手をすれば半日以上にも思える体感时间を过ごしていた。
湿った木枷に手首を食い込ませる苦い钝痛を感じながら。
奥歯を噛み缔める浮つくような感覚を受け止めながら。
彼は、ディルトは、この狭い牢の中で、延々触手たちによってその男としての肉体を弄ばれ、踏みにじられたのだ。
缲り返し、缲り返し。
终わりなどなく、何度も何度も。
惯れきった肛门を更に强引に割り开かれて、口元から甘い呼吸を吐き出すたびに、快楽を受け止める事を教え込まれた会阴部に、ぬめる刺激が