ディルトはそうした自らの低劣な肉体を许容する事を力の限りに拒絶しながら、それでも、触手たちからの决定的な爱抚を打ち払う方法を持ちえない。
生き物である以上、そして雄という性别である以上、睾丸からせり上がる生理的欲求が存在する事は仕方がない。
そう、ディルトは今までの人生のその间に、男の欲望を吐き出した事は何度もあった。
ひどく合理的に考え至って、ディルトは今までそうして自身の『男』と共存してきた。
ひとうねりごとに、强引に叩き込まれる激しい快楽。
そして、今。
ディルトの肛内深くへと魔の手を伸ばした二本の触手は、新たな攻撃目标を、その柔らかな肉壁に包まれた前立腺に定めたのだ――。
「ッ――!!」
今まで生きてきて、男としての悦びを、一度も知らなかった訳ではない。
尻の中へと入り込み、引き缔まっていた内侧の通路をこじ开けて、触手たちはディルトの身体を彻底的に蹂躙しだす。
「く…!くう、うッ……!!」
それ以上、ディルトがそうした『男としての性』について身を乗り出す事も、ましてそうした行为にかまけ日々を过ごす事など、ただの一度もなかったのである。
つまりは、ディルトにとって、男としての肉体の悦びや、性的兴味や好奇心、果ては生殖机能の働きなど、その程度の事でしかなかったのである。
锻え抜いた肉体が、雄としての発散を切望しながら要求してきた夜もある。
睑を下ろし、意识を澄ませて、掌の中の太干を心地よいリズムで上下すれば――。
ならば、それを适切に処理し、向き合っていけばいいだけだ。
またある时は、独りでの沐浴のその合间に。
だが、その度に、ディルトは下卑た欲求に流される事なく、的确に、理性的に『処理』をした。
无论、肉体の昂扬から射精までの间に、それ相応の男としての快楽は存在したが、それはあくまで、自らの意思に従っている快楽であり、里を返せば、ディルトが今までに味わってきた快味や悦楽は、己の想像や予想の届く范畴でのものだったのだ。
ディルトとて、一人の人间であり、男である。
成熟した年齢の男として、子孙を遗す为に精巣が疼いた夜もある。
「く…ッああああ!!」
その证拠に、彼は今まで生きてきて、己の男としての欲求やそれに伴う快楽に、溺れた事が一度もなかった。
きつく、强情だったはずの肛门の戸口とその内部の通路は、今や度重なる触手の侵略によってドロドロのゼリーのように溶かされた。
猛った自身の分身を优しく握り、下半身に溜まった欲望を吐き出すために适切な上下运动を缲り返す――。
自らの精神と肉体を兴奋させ、事に及び、射精する。
『ッ…』短い叹息と共に、ディルトの阴茎からは势いよく雄の证が喷き上がり、解放と欲求の充足による男の快楽が身体の中を駆け抜ける――だが、それで终わりだった。
あったが、それは、必ず己独り……つまりは、自身の手淫による切ない吐精にすぎなかったのだ。
だが、そうして味わってきた悦びなど、今、身を袭う快楽に比べれば、まるで子供の游びと同等だった。
ある时は、家臣が寝静まった後、寝具の中で。
适切な、距离を保って。
叩かれるたび、全身が跳ね上がりながら仰け反った。
「ん…!あ……ッ!!あ…ッ!!ああ……ッ!!」
「ッあ!!や、ッめェ…!!くッ…!あ!ああああ……ッ!!」
そうなれば、後はもう简単だった。
侵入してきた异物に対し、强い収缩で対抗していた内壁は、缲り返されるざらついた体侧での爱抚によって、すっかり弛缓し、甘い痉挛を刻む快楽器官へ成り果てた。
静寂が支配する空间で、自らの雄芯を握り込み、规则的に右手を使って扱き上げる、やがてそうした律动を缲り返しているディルトの手の中で分身は徐々に硬度を増して、勇ましい怒张へと変化する。
ズルズルと粘膜の擦れる音を発しながら肛门の深い场所へと这い进み、触手はディルトの前立腺を的确に狙って殴打する。
缲り返されるたび、ディルトの脳髄はとろけるほどの悦びを味わった。
强すぎず、弱すぎず、だが、最も成果を挙げる强さと势いを保ったまま、触手は膨らんだ张りのある先端を使って、悦びに身をすくめる前立腺を、缲り返し缲り返し叩き上げた。