线に突き穿つ闪光のごとき快楽に、ディルトがうっすらと濡れた睑を食いしばった、その时だった。
「おお?なんだァ?勇者サマァ!随分甲高い声で騒いでるが……まさか泣いてるんじゃあ、ねェよなァ……?」
「!!!!」
漆黒のインクを流し込んだような色をした鉄格子の向こう侧から、うっすらとした影と共に、闻き覚えのある下卑た声色が响き渡った。
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「贵様、は――ッ!!」
黒泥を涂り込めたような空间の向こう侧に浮かび上がった异形の邪笑を见とめた途端、ディルトの全身は怒りと屈辱感に燃え上がりながら跃动した。
あの、魔族――!!
湿った鼓膜が忌々しい声音をしっかりと受け止めたそれと同时に、视界の中央には、最前散々に自分を殴りつけ、踏みにじった下劣な魔族の姿が映りこんだ。
「贵……様ァッ!!」
视覚から入った情报が、脳内に流れ込みきるかきらないか、身体の中にある神経回路が、明确に思考へと接続される寸前に、ディルトは自らの四肢が太い锁によって拘束されている事さえも忘れて、脊髄反射で全身を跳ねさせ、目の前の鉄格子に向かって飞びかかっていた。
いや……正确には、飞びかかろうとした。
だが。
「く…う…ッ!」
「おお?なんだァ?ははッ!どうしたよ勇者サマ!随分威势の云いイイ声出したと思ったら、今度は急に顔しかめながらだんまりか?くくくッ!なんだなんだ、こりゃあ思ったよりも、ずっとヨワっちまったみてェだなァ?」
「ッ……!」
目の前で不敌に嗤う魔族の男に、身体ごと、身の内に滚る愤りごと激突させようとした、その直前、ディルトの肌の上、唯一身にけた衣服である下の中の股间部分で、太い触手が、ぬるり、とのたうつように身を捩ったのだ。
「く……ッ…う……う……!」
思わず眉间を寄せて苦闷と共に自分を睨みつけるディルトの様子に、魔族の男は瞬时に现状を察知すると、さも愉快気な表情を浮かべて格子の中を覗き込む。
「へェ……なんだァ?さっきまでは随分生意気なツラして伟そうなごたく并べてたが……今はちょっくら……情势が変わったみてェだなァ……?」
「ッ……!」
「くくく……!隠さなくってもいいんだぜェ…?一目见りゃあお前が今何されてるのか、なんて丸分かりだからよォ……!何しろ『ソイツ』を牢の中にブチ込んだのは、他でもない俺たちなんだからよ!」
「く…ッ……!」
「どうだよ、勇者サマ!『ソイツ』の味は!くくく!いいっていいって!さすがに自分の口で『认める』のは悔しいもんなァ!だから安心しろよ!俺たちは何もお前に『もうたまんないくらい美味しいです!』なんてひでェ事は言わせねえからよ!その代わり……」
「ッ…!」
「ちっとばかし、ココで様子を见させてもらうぜェ……?勇者サマ、お前とソイツがどれだけ『亲密に仲良くしてるか』ってのをよォ……!!」