体を遡上するかのごとく攻め上がってくる本能に近しい感覚は、今やもう、己の高洁な精神だけでは抑えようがなくなりつつある。
「く…そ……ッ」
忌々しげに息を漏らすと、それと同时に、ぞくり、と背筋が粟立った。
「ふ……ッ…ぅ…!」
咄嗟に唇を噤み、両手を握ると、尻の穴で、片方の触手がずるりと动いた。
「ッ……!!」
狭く、きつく缔まっていたはずの、肛门。
それを、この忌まわしき侵入者たちは、强引に戸口を割り开き、体侧から溢れ出る分泌液で穴を濡らすと、乱暴な侵略を开始した。
最初は、一本。
狭い通路に无理矢理に身体をねじ込んで、括约筋が拒絶してもお构いなしに押し进んだ。
ディルトが冲撃に息を饮みつつ切迫した呼吸を吐き出すたびに、まるでその瞬间が狙い目だと言うかのごとく、触手はずるり…!と强く奥部へと这い进んだ。
それが终われば、二本目だった。
まさか、と戦栗したディルトの尻に、新たな侵入者が强引な动作で突き入ったが、もうその顷にはディルトの尻は最前の一本目の触手から分泌される粘液によって痛覚も、更には括约筋の强い働きも麻痹させられた後だった。
だが、どういう訳か、痛覚や筋肉运动が麻痹させられているというにも関わらず、ディルトの尻の穴は、鲜明に……いや、正しくは、今までよりも、ずっと鋭く、触手たちから与えられる刺激や感覚を、脳の中心に向かって伝达したのだ。
声を饮み、目を见开いて、二本目の触手が肛门の内部を这いずり进む感覚を、ディルトは悪寒と共に受け止めた。
こんな……こんな……!
そう思っては歯噛みして、悔しさと屈辱感に双眼を鋭く尖らせて……そうして、数十分。
「ッ……う…あ……!」
どうしてこんな事になってしまったのか、ディルト自身にも分からない。
分からないが、それが事実だった。
今、眼前にある、确かな事実。
それが。
「ッ……く…う……う!!」
自らの肉体が陥落しかけている事は明白だが、もはやどうしようもない事もまた事実だった。
できる事は、いまだこの热く炙られた身体の中で息づく高洁な精神を、必死にかき抱き、维持し続ける事だけだ。
「く……そ……!」
悔しさに震える唇で念っても、喉から漏れるのは、ひどく情けない、途切れ途切れの声だけだった。
ずるう……ッ!!
「ッあ!!」
大きく一度、触手がその身を引きずると、ディルトの肉体は、雷に打たれたように跳ね上がる。
「く…う……ッ!!」
触手のほんの仅かな挙动によって、己の身体がここまで盛大な反応を示している事が、悔しくて悔しくてたまらない。
できる事なら、こんな事はなんでもない、やるならば、好きにやれ!と决然と我が身を差し出してやりたかった。
けれど、今のディルトにはそれができないのだ。
「ッ…く……!」
己の男として、いや、人间としてのプライドを爪が食い込むほどにかき抱きながら、必死にこらえ、耐え忍んでも、これなのだ。
好きにしろ!などと大见得を切って、平然と、冷静に凌辱に耐える己の姿など、想像する事ができなかった。
一体、こいつらは何がしたいのだ――!
いつまでもいつまでも……まるで弄ぶように俺の身体を――!!
终わりの见えぬ侵略に、ディルトが苦し纷れに考えると、必死にすぼまろうとしていた肛门口が、二本の触手の太い干で、ぐい!と力任せに割り开かれる。
「くあ…ッ…!!」
强引に割られた穴の戸口が、无力感を叹くようにヒクヒクと力无く痉挛すると、ぬめる触手は追い打ちとばかりに、その柔らかな唇目がけて、弾力に富んだ筋肉质な体侧をすり付けた。
「んあ…ッ!!」
粘液をまとった触手の身体を力强くすり当てられて、ディルトは今しがたまでの思考回路を一瞬のうちに手放すと、それと同时に肛门では括约筋が瞬时にその身を硬くする。
だが、変化はそれだけでは终わらなかった。
ディルトの肛门が、开かれた口を闭塞しようとした瞬间に、触手たちはまるでその挙动を见通していたかのように滑らかに身体をくねらせると、ディルトの拒絶を无惨なまでに打ち払う。
「く、そ……ッ!く……ああ……!