暗い牢の中、头上の锁を手缲るように引き寄せる自分は、まるで何かに许しを求めている愚者のようだ、とディルトは思った。
今更、何に救いを求めるというのだ。
神が居るなら、魔族など生まれず、人々は愚弄されず、そして、自分が勇者になどならずに済んだはずだ。
「く……ッ」
淀んだ水滴の渗む天井を睨みつけると、ディルトは头を振って口唇を噛んだ。
尻の中心で确かに感じる侵攻の证に、汗の浮いた背中では毛穴が开き、首筋では薄い皮肤が张り诘める。
押し入られ、まさぐられ、その直後には更なる力で割り开かれて――。
「く、そ……!」
强引な侵略に、痛みさえ感じない事は、むしろ今のディルトにとっては耻辱だった。
これなら自由を夺われながらの乱暴に、苦闷や激痛をおぼえている方が、ずっとましだ。
痛みをこらえ、辛苦に顔を歪めながらも、その苦痛を睨みつけて、必死に足掻く事ができただろう。
けれど。
今の自分はどうだ。
痛みもなく、苦しみもなく。
忌むべき魔物に、ただ、尻の穴という耻ずべき场所から、强引な侵入を果たされて。
「……ッ…!」
あるのは、肛门を押しげられる异物感と、それに伴う不快感。
こんな不甲斐ない様を晒したまま、俺は无様に死んでいくのか――!
こんな事なら、もっと鲜烈に叫び、辛辣な苦闷に歯を食いしばり、そして奈落へ堕ちていく方がずっと――!
头の隅に、そんな考えを浮かべた事を、彼は……ディルトは後になって後悔する事になる。
痛みも、苦しみもなく、侵略を受け始めた当初のように、异物感と不快感だけを感じて、ただ悔しさに唇を噛んでいられたら――。
自らが後々に切望する愿いを想像だにせず、现在のディルトは、ただひたすらに、我が身へ与えられる侮辱にも等しい仕打ちに、今一度奥歯を噛んで低く呻いた……その直後だった。
「ッ!?」
ディルトの汗にまみれた全身を、何の前触れもなく、激烈な稲妻がまばゆい闪光と共に撃ち贯いたのだ。
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「な、ん……ッ?!」
身体中を、いや、身体どころか、脳の中にある思考回路の隅々までを贯いていった闪光に、ディルトは目を见开きながら声を饮んだ。
一体……何が――?!
自らの肉体に何が起こったのか――ディルトが通过していった変化に総毛立ちつつ、原因を探ろうと侵略され続ける下半身を覗き込んだ……瞬间に、第二波がすくむ身体を撃ち据えた。
「くッ、ああああ…!?」
意図せず、声が漏れた。
それも、里返ったような、甲高い声が。
な、なん、だ……!?
一体……!
一体なんなんだ……!?
全身を通り抜けていった二波目の稲妻に、ディルトがごくりと唾液を咽下しながら拳を握ると、嫌な汗が、掌の中で浮き上がってゆく。
今の、は……。
今の……感覚、は……。
まさか……。
痛みでもない、苦しみでもない。
かと言って、最前まで自分を不快にさせた、圧迫されるような异物感とも、明らかに违う。
あれは。
今の……今、自分の身体を袭ったあの感覚は――。
「…………ッ!」
ゾッとしながら、ディルトが『そんなはずはない――!』と强く头を左右に振った、途端だった。
「くうッ――?!」
望まぬ三撃目の落雷が、追い打ちとばかりに强张ったディルトの背筋を、力强く撃ち据えたのだ。
「ッ――――!!!!」
もはや、明确に自覚して、ディルトは目を见开くと同时に、强く犬歯を噛み缔めた。
そんな――!
いいや、违う……!
こんな事……信じる事はおろか、许容するなどもっての他だ――!
胸中で强く、决然と言い张ったその途端、ディルトの肛门内では、再びのテールの蠢动が沸き起こり、それと同时に鋭利で真っ赤な冲撃が、汗に冷えた筋肉质な背筋を、速射のように一直线に贯き穿つ。
「くあ…ッ!!」
硬直しきった脊髄を、おぞましい感覚が走り抜け、その直後には、细めた睑の里侧を、闪く闪光が通り抜けていく。
それも、思わず五感が冻り付いてしまう程の