「ッ……!!ああ――!!」
粘质な分泌液を排出し続けるぬめる肌に、柔らかで鋭敏な场所を抚で上げられたその一瞬、ディルトの身体からは声も、色も、抵抗も――あらゆる物が消え去った。
いや、消え去った、というよりも。
「ッ――――!!!!」
突如として访れた、生まれてこの方感じ取った事のない『その感覚』に、ディルトの体内では、全ての回路が瞬间的に麻痹してしまったのだ。
否応なく、强制的に、强引に。
まるで、复雑で繊细な电気回路に许容量以上の强电圧が流れ込んで、一気にショートするように。
ディルトの全身は、触手の蠢きが与えた仅かで、それでいて强大な一打によって、一瞬ではあるがあらゆる肉体的活动も反射运动も放弃すると、汗の浮く背中を三日月のように湾曲させ目を见开いて、ただその场で石のごとく硬直したのだ。
「ッは――!!」
冻り付いた身体を、冷たい汗が这い降りていく。
怒りと兴奋で煮える程に燃えていたはずの全身が、今や块のように冷え切っている。
「ッ……!」
五感の全てが身体から消えて、目の前が真っ暗になった。
あれだけ强く保っていた意思も、感情も、决意も、瞬时に瞳の前から消え去って、代わりに芽生えたのは、冻てつくほどの寒さと――。
「――――――!!」
快味。
暗転のごとき一瞬が、长い长い时间をかけて下半身から脳天へと抜け出ていくと、ディルトは现実世界に放り出された。
「ッは―――――!!」
今のは……一体――――!
自らが享受した恐るべき一瞬を振り返って、ディルトがぞっと背筋を强张らせると、尻の戸口で二本の触手が微动する。
「ッ――!!」
やめろ――!!
叫ぼうとして、唇を开き、からからに乾いた喉で声を吐き出す、その寸前。
ずるり……!!
「ッ!く…ああ……ッ!!」
体内へと入り込んだ横暴で无分别な侵入者たちは、狭い洞穴の奥へと向けてゆっくりとその身をうねらせると、先刻までより一层分泌液に濡れた体侧を、ディルトの肛内の柔肌に向け、ずるずると无远虑にこすりつけた。
16
「や、やめ――ッ!!」
咄嗟に叫んで、拳を固めたその直後、ディルトは再び、信じられない……いや、信じたくはない感覚の真っただ中に突き飞ばされた。
「ッ――――!!!!」
今度は、先刻よりも、よりはっきりと感じられた。
异物感でも、圧迫感でも、不快感でもない。
それらの感覚から、更に一歩踏み込んだ、あからさまな……反応。
「く……う……!!」
否定したくとも、拒絶したくとも、不可能だった。
いくら精神を志高く保っても、いくら自分は勇者なのだ、と勇ましく前を向いて鼓舞しても。
肉体は……肉体に起こる生物の本能の一环とも言える、生体的な反射や反応だけは。
精神だけでは、どうする事もできないのだ――。
「ッ……く……う…!!」
いくら锻錬を积んで、どれだけの実戦を経たとしても、きらめく刃で露わな肉を切られれば、血液が渗み、痛い、と感じる。
重い钢鉄の切っ先が皮肤を裂き、热い血潮が喷き出した瞬间に、全身の筋肉は强张り、本能が退けと身体の底で警钟を鸣らす。
血の通う、人间……いや、生き物であればこそ、それは意思や感情では、どうする事もできぬ宿命なのだ。
こと、それが生命の活动に関わるような、根源的なものから生じた感覚だとすれば――。
「く、そ……ッ!!」
嫌な汗が筋肉の浮き立った背中を这っていくのを感じながら、ディルトは犬歯を剥いて眉根を寄せた。
こんな……こんな――!
けれど、一度繋がってしまった感覚の回路は、もはやいくらディルトが神経を操作し、足掻いても、切断する事はおろか、すり替える事さえ困难だった。
ずるう……ッ!!
「ッうあ――!!」
尻の中で、触手が再び身をくねらせると、ディルトの全身は明确な『あの感覚』に贯かれていく。
「く、あ……!!」
认めたくはない。
理解したくはない。
その感覚を受け止め、否応なしに感じているのが、他でも